「友達とカラオケに行って歌っていたら、『今の歌い方ってオク下じゃない?』と指摘されました。オク下ってなんですか?よくないことなんですか?」
こんな質問がよくネットにあがっています。
自分は気持ちよく歌っていたのに、同席者から突然チェックが入ると困惑しちゃいますよね。

このページではそんなお悩みを軽減するために、

昭和の時代からカラオケの楽しさを追求し続ける管理人キー太郎が「オク下」とは何か?その基本情報をビジュアルにわかりやすく解説していきます!
これからカラオケを始める方々や、すでに始めていてオク下を改善したいと思うカラオケ初心者の方々は、まずここでしっかり「オク下」や「オクターブ」の意味を理解し、他の記事で解説しているさまざまな対処法を理解できるようにしましょう。
※こちらもご参考にどうぞ!【オク下の確認方法・オク下の改善方法・オク下がダサいと言われる理由・オク下批判のかわし方】
オク下は声域が合わないときの対処法のひとつ
「オク下」というのは「1オクターブ下(の低さ)」の略語で、「オク下(での)歌唱」などと使います。
オク下歌唱は、もともとの歌手が歌っているキー(原曲キー)のちょうど1オクターブ下の音の高さで歌っている状態を指します。
楽曲の伴奏や原曲の歌唱が、歌う本人の声域より高い場合に用いられる「対処法」のひとつで、初心者の男性に多く見られます。
というのも最近の男性ボーカル曲はかなり高音化しているために、声の高くない男性には原曲キーでは高すぎて歌えないことが多く、こういった場合にオク下で歌っているケースが増えているようです。

上の図は男性と女性の「地声」の平均的な範囲(裏声ならもうちょっと上まで出ます)と、おなじみの楽曲いくつかの音域を並べてみたものです。
平均的な地声の声域よりも高い部分を、黄色に黒の縁取りの矢印で表してみました。
Pretenderで半オクターブ、Soranjiでは1オクターブ近くも高音側がはみ出していますね。
もはや女性曲の声域を越えている場合もあります。
このはみ出した部分は、裏声で歌ったりミックスボイスで対応したりと、地声を普通に出す以外の対応が必要になる可能性が高いエリアです。

逆にSranjiなどは1オクターブ下げるとだいたい男性の平均的な地声の範囲に重なります。
こうなると「オク下で歌う方があたりまえ」であってもおかしくはないですよね。
ではここでちょっと「1オクターブとは何か?」にも触れておきましょう。
そもそも1オクターブとは?
音階にはド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シの7つの音階があり、シの次がまたドです。
この次のドがくるまでの音階の幅を1オクターブといいますが、次のドを含めると8つの音階となり、この「8で一周する」ような構図からラテン語の「octavus(オクタバス;8番目の意)」が「オクターブ」の語源となっています。

実はこの8つの音階の「となりの音階との差」は、すべてが一定ではありません。
ド・レ・ミの間やファ・ソ・ラ・シの間は「全音」の差なのですが、ミ・ファの間とシ・ドの間は「半音」の差(半音2つで全音1つ分)なのです。

ですので、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドの間には5つの全音差と2つの半音差があり、これをすべて半音に換算すると12になります。
つまり1オクターブは12半音の差なんですね。
さらに音程の差は、半音を1度とした「度数」で表現しますので、1全音は「2度」、1オクターブは「12度」ということになり、オク下とは「-12度」ということになります。
オクターブは「差」や「幅」ですから、ドから次のド、レから次のレ、ミから次のミ・・・などと、音のある位置すべてに用いられます。
オク下は「男性が女性ボーカルの曲を歌う」場合にも多い
また男性が女性ボーカルの曲を歌おうとする場合も、同様の「高すぎる」という理由からオク下で歌うことが多くなります。
先ほどの声域の図を再掲しますが、男性の地声平均と女性の地声平均は、最低音は1オクターブ離れていますが、最高音は半オクターブ程度の差です。
低音側は男性の方が声域も広いのでやや余裕がありますから、女性曲を男性が歌う場合には高音側を合わせるように調整すればよいわけです。
しかし低音側に余裕があるといっても、実際に1オクターブ下げてしまうと最低音が出ないこともありますので注意しましょう。


ちなみに私は宇宙戦艦ヤマトの最低音も厳しいので、マリーゴールドのオク下は最低音がぜんぜん出ません。
この辺の詳細は「カラオケのキー変更ってなに?」で改めて説明します。
参考までに「オク下」の対義語(意味が逆の言葉)は「オク上」(1オクターブ上)になります。
オク下とは逆に楽曲の伴奏が歌う本人の声域より低いときに用いられますから、基本的にオク上歌唱は女性が行う対処で、とくに女性が男性ボーカルの曲を歌うようなときに見られます。

たとえば「宇宙戦艦ヤマト」などは、女性が歌う場合「オク上」だと、だいたいちょうどよい範囲に収まりますね。
オク下やオク上を使った歌い方には、楽曲の一部だけをオク下で歌っている場合と、楽曲の最初から最後までオク下で歌っている場合、そして変則的な方法としてキーをいくつか上げたところからのオク下(-12)や、その逆のキーをいくつか下げたところからのオク上(+12)などがあります。
サビだけオク下とは?
楽曲の一部だけをオク下で歌う場合によくあるのは、いわゆる「サビ」の部分だけ、つまりクライマックスの高音になる部分だけをオク下で歌うケースがけっこうあります。
これは歌っているうちに「この曲の高音部分は自分には出せないな」と感じたとき、とっさにオク下で歌う「緊急避難的な対処」と言えるでしょう。


この場合たいてい、歌っている側は自分が「オク下に逃げた」という自覚があるものです。
伴奏は青い音符のメロディで示されているのに、歌い進むにつれて「たぶんサビの高さは出ないな」と感じ、急きょ緑の矢印のように12下げて赤い音符の位置で歌う方法になります。
完全なオク下とは?無自覚オク下とは?
ところがスタートした時点ですでにオク下になっていてそのまま最後までオク下で歌っていることもよくあるようです。
伴奏がまったくキー変更されないまま、楽曲の全部分がすっかり1オクターブ下で歌われていますので、ここでは「完全オク下」と呼ぶことにしましょう。

伴奏は青い音符のメロディで示されているのに、歌唱は1オクターブ下げてしまい(-12;緑の矢印)、実際には赤の音符で示された高さで歌い終わるパターンです。
中には本人が「オク下」と自覚した上で歌って「でも自分はオク下じゃないと歌えないんだよね~」という人もいます。
しかし初心者の場合には、歌い終わってから同席した他の人にオク下を指摘されてはじめて「えっ、そうなの?」と気づく場合が多いのではないでしょうか。

本人が気付かない完全オク下は「無自覚オク下」と呼ばれることもあります。
オク下はときどき批判されることがあるんですが、その中でも「無自覚オク下」はいじられることが多いので、オク下への対処などについてはこの「完全オク下」や「無自覚オク下」を中心に取り扱っていきます。
ちなみにオク下にならない人はどうやってるの?
ここで、カラオケに慣れた「オク下にならない人」はどう対処しているのかについて、ちょっとだけ説明しておきますね。

オク下にならない人は、伴奏の原曲キー(あるいは標準キー)と自分の声域が合わないとき、「キー変更」をおこないます。
「キー」は音楽用語ですが、私たちカラオケ愛好者のレベルではキー(≒調)についての専門的な(ハ長調とかイ短調など)の知識はほぼ要りませんから、ここではざっくりと「曲全体の高さ」としておきましょう。
たとえば童謡の「ちゅうりっぷ」の序盤のメロディ【さいたー さいたー ちゅうりっぷのはながー】の原曲キーは、音名でいうと
【ドレミ ドレミ ソミレド レミレ】です。

わかりやすいように始めのドの高さの線を赤で示してみましたが、これを半音下げて

【シド#レ# シド#レ# ファ#レ#ド#シ ド#レ#ド#】と歌うこともできますし、さらに半音(=原曲キーから全音)下げて、

【ラ#ドレ ラ#ドレ ファレドラ# ドレド】と歌うこともできます。
もちろん下の図のように、逆に高い方へずらすことも可能です。

相対音感がある程度しっかりしていれば、カラオケではこのように曲全体の音の高さを半音刻みで上げたり下げたりすることが可能なんですね!

多くの人はこの「キー変更」を行って自分の歌いやすい音域に伴奏のキーを合わせています。
あらかじめ「合わない」と分かっている人は、曲を選んで送信する前にキーの変更を設定しますし、歌っている途中で「合わない」と気づいた人は、歌っている最中にキー変更することもあるんですね。
※キー変更について詳しくは「カラオケのキー変更ってなに?」をご覧ください。
キーをいくつか上げたところからのオク下とは?
さらに、伴奏の1オクターブ下で歌う歌い方の中には「キー変更の変則的な方法」という位置づけになりますが「伴奏のキーをいくつか上げたところからのオク下(-12)」という調整方法があります。

これはカラオケのキー変更の範囲が±7までしかないため、それ以上のキー変更が必要なときに行う「裏技」なんですね!
たとえば男性が女性の曲を-8で歌いたいときです。

ここでも目印として、原曲キー(青の音符)の最初の音の高さを黄色い罫線で表しておきますね!
-8は普通のキー変更ではできませんから、まずは青い音符で示した伴奏を+4にキーを上げて(茶色の矢印)いったんグレーの音符の高さにし、
そこから歌う方はその1オクターブ下(-12、緑の矢印)で歌うことで、
実質-8(オレンジの矢印)、つまり赤い音符の高さで、無理なく楽に歌うことができるというわけです。
※キーをいくつか下げたところからのオク上については、ここでは省略します。
この「キーをいくつか上げたところからのオク下」についても、「カラオケのキー変更ってなに?」で改めて詳しく説明しますね!
まとめ
オク下が発生する原因やさまざまなオク下の種類などについて「カラオケ愛好者」のレベルで解説してみましたが、いかがでしたでしょうか?

まとめますと、オク下の歌い方についての基本情報は以下のようになります。
・「オク下」とは「1オクターブ下(の低さ)」という意味
・初心者の男性に多くみられる
・伴奏の音の高さが歌う人の声域よりも高いときに起こりやすい
・男性ボーカルの高音化も影響している
・男性が女性ボーカルの曲を歌うときにも起こりやすい
・楽曲の一部だけをオク下にする場合と、楽曲の全部分をオク下にする場合がある
・自分のオク下歌唱に気づかない場合は「無自覚オク下」と呼ばれる
・オク下にならない人はキー変更をしている
・キー調整の裏技のひとつとして「キーを上げてからオク下で歌う」方法がある
この「オク下の基本情報」を頭に入れて、他の記事【オク下の確認方法・オク下の改善方法・オク下がダサいと言われる理由・オク下批判のかわし方】なども読んでみてくださいね。

ここまでお読みいただき、大変ありがとうございました!
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